卒業式
スポーツ番組にハイライトというコーナーがあるじゃないですか。
プロ野球で言えば得点をとったシーンや 、スーパーキャッチがあったシーンなどその試合の名場面を断片的に流すっていうコーナー
もし、俺が死んだ後も同じようにそれまでの人生にハイライトがあるとすれば、絶対使われるだろう名場面がありました。
卒業式、俺はあんまり友達も思い出も多くないためかほとんど感情の起伏はなく、淡々と時間が経過していった。
とりあえずは卒業式も終え、教室での卒業証書授与やクラス写真もこなし最後のホームルームも終えたところで個人での写真撮影会が始まった。
仲良かったグループやカップル、部活動の仲間が集まり最後の時を写真として刻んでいく、。
廊下や、教室は組問わずいろんな人が入り混じりシャッター音と笑い声が響いた。
俺は申し訳なさそうにをその列を掻き分け、影となって校舎を出た。
怖いのだ、自分から写真撮ろうなんてもちろん言えないし、もし写ってとか言われたら言われたでいろいろ勘ぐってしまう。
今思えば全て杞憂な気もするが、、。
2倍速で坂道を下り親のいる生協の駐車場へ向かった。
今思えば自分へ慈悲か、なんなのか知らないがレフボンで寄り道しパンをかった。
親と合流し車に乗り込もうとした時LINEの着信音がなった。
めっちゃ少ない友達の1人からだった。
「写真撮れそうだからとろーぜー」
俺は母親に「電車で帰るわ」と告げ来た道を4倍速で逆走。
カメラが遠目から俺を写し、駆け上がる坂道を写しながらフェードイン。しっかり表情を収めてからじっくりとフェードアウトしていく。
その間も歓声は鳴り止まない。
アナウンサーが
「来た道を駆け足で走っております!表情は変わりませんがその奥になにか熱い闘志を感じられます! !」
と滑舌よくなめらかに実況。
貫禄のある声で解説者が
「よほど写真を撮りたかったんでしょうねえ。孤独ですねえ。」
と辛口に解説。
無事合流し、写真を撮った。
たぶん友達は写真を撮り慣れていたのだろう、手慣れた感じで写真を撮りおれの青春は呆気なく幕を閉じた。
写真を見返してみると表情、姿勢、前髪、全てに置いて俺の学校生活 "そのもの" でありなんか美しかった。