土の中みたいな場所で

身体的な欲が湧いてこない。食欲も性欲も睡眠欲も、ずっとそうした感覚に対する意識が曖昧としていて、その曖昧とした身体感覚の渦中に抗うことなく身を任せている。そのように、わたしがわたしの身体を漠然としてしか認識できていないためか、内出される感情も少なくなってきていて、感情を表現する心のようなイメージの臓器は、崩れて、溶けて、腐敗して、鬱々とした匂いだけを出している。形容するなら、憂鬱とでもいうのだろうか。でも、本来憂鬱といった言葉には不安や後悔といった意味合いも残してあると思うので、それもまたすこし違う。わたしのそれは、もっと思想がなくて、文脈がなくて、気品がない。とにかく、わたしの覇気の無さには、意味が帯びていないのだ。そんな美しくない堕落に何の価値があるのだろう。そんなことを思いながら今日もまた、速く走れない自分の脚を舐めている。光をみたい!、他者にみるのは向いてないから、せめて自分の中に。